「お先に上がらせていただきます」は二重敬語でアウト?上司が本音でイラッとする退社挨拶の正解例文
退勤の瞬間、あなたは何と言ってオフィスを出ていますか。2026年現在、SNSやビジネス系掲示板では「お先に上がらせていただきます」という挨拶をめぐる議論が定期的に燃え上がっています。文化庁が公表した2025年度「国語に関する世論調査」では、20代~40代の社会人の約63%が「二重敬語かどうか自信がないまま使っている」と回答。特に「お先に上がらせていただきます」は、丁寧に言おうとするあまり、結果として“過剰敬語”になってしまっている代表例として専門家から指摘が上がっています。本記事では、この挨拶がなぜ問題視されるのか、実際に使うとどんな印象を与えるのか、そして明日から即戦力になる正しい言い換え例文までを、現場の声と専門家の見解を交えて徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「お先に上がらせていただきます」は謙譲語「上がる」と「させていただく」が重なる二重敬語で、文化庁の敬語指針では「冗長・過剰」とされる誤用表現に該当する。
- 要点2:一方で若手~中堅の約4割は「丁寧な印象」「定型句として定着している」と認識しており、世代間ギャップがSNSや知恵袋で論争化している。
- 要点3:上司・先輩への退社挨拶は「お先に失礼いたします」が最適解。さらに良好な関係を築くには「何かお手伝いしましょうか」の一言を添えるのが2026年の新常識。
【2026年最新】「お先に上がらせていただきます」が嫌われる言語学的理由
結論から言えば、「お先に上がらせていただきます」は文法上は成立するものの、敬語の専門家の多くが「避けるべき過剰敬語」に分類しています。問題の核は「上がる」と「させていただく」の二重構造にあります。
「上がる」は本来「訪問先から帰る」「自宅に戻る」という意味の謙譲語です。一方「させていただく」は「相手の許可を得て恩恵を受ける」という感謝を表す敬語表現。つまり「上がらせていただく」は、「帰る」という自分の動作に謙譲語を二重にかけた結果、文法的に冗長な印象を与えます。NHK放送文化研究所の敬語に関する公式見解でも、過剰な敬語は「聞き手にわずらわしさや慇懃無礼(いんぎんぶれい)な印象を与える可能性がある」と指摘しています。
特に「させていただく」の使いすぎは、ビジネス敬語における間違いやすい表現として毎年のように「日本語 誤用 ランキング」上位に選ばれています。2024年に民間の国語教育機関が実施した調査(サンプル数:24,800人)では、「させていただく」の多用に違和感を持つ人が58.4%に上り、5年前より11ポイント増加。敬語に敏感な上司層ほど「何でも『させていただく』病」に嫌悪感を示す傾向が明確になっています。
【検証】実際に言われた上司・先輩のリアルな反応とネットの声
言葉の問題は、理屈だけで語っても意味がありません。現場でどう受け止められているかを、SNS・5ch・知恵袋の投稿データと筆者独自のヒアリングから検証しました。ネット上の反応で最も多かったのは「最初は気にならなかったが、毎日聞くとモヤモヤする」という声です。
ある40代管理職は、知恵袋への投稿で「部下が『お先に上がらせていただきます』と言うたびに、『誰に許可を取ってるの?』と思ってしまう」と本音を吐露。またX(旧Twitter)では「お先に上がらせていただきます=『帰ることを許してくれる?ありがとう!』って全部先回りしてる感じがして、逆に押し付けがましい」という投稿が3万以上のリポストを集めました。
一方で20代社会人からは「就活のマナー本に書いてあった」「先輩が使っているから正しいと思っていた」という防衛的な声も目立ちます。事実、書店で販売されているビジネスマナー本の中には、いまだに「お先に上がらせていただきます」を推奨しているものが複数確認できます。この“教育された誤用”が、世代間対立の火種になっているのが実態です。
使うと失礼になるケースと、正しい言い換えの比較表
では具体的に、シチュエーション別の正解例文とNG例を整理します。2026年のビジネス敬語マナーでは、「言い換えのレパートリーを持っていること」そのものが社会人の評価につながります。以下の比較表を参考に、今日から使える表現を身につけてください。
| シチュエーション | NG・避けたい表現 | 正しい言い換え例文 | 編集部の見解・補足 |
|---|---|---|---|
| 定時退社(上司が残っている) | お先に上がらせていただきます | お先に失礼いたします。何かお手伝いできることはありますか? | 「失礼いたします」が最も無難。気遣いの一言で印象が格段に上がる。 |
| 急用・体調不良で早退 | すみません、お先に上がらせていただきます | 申し訳ございません。本日は体調不良のため、お先に失礼させていただきます。 | 「させていただく」を使うなら「失礼」に付ける。理由を明確に伝えるのが社会人マナー。 |
| 会議中に中座する | 次の予定があるので、上がらせていただきます | 恐れ入ります。次の会議のため、中座させていただきます。 | 退社ではないため「上がる」は不適切。「中座」を使うのが正確。 |
| 先輩にのみ挨拶する | お疲れ様です。お先に上がります | お疲れ様です。お先に失礼いたします。 | 「お先に上がります」は謙譲語ではあるものの、同僚にはやや硬い。「失礼いたします」が万能。 |

【実態検証】2026年のビジネス現場で本当に使われている退勤挨拶ランキング
実際のオフィスでは、どの退勤挨拶が主流なのでしょうか。2026年1月、大手ビジネス系Webメディアが実施した「オフィスにおける退社挨拶の実態調査」(回答者:全国の20~59歳の会社員4,872人)では、以下のような結果が出ています。
1位:お先に失礼します/いたします(42.7%)
2位:お疲れ様です/でした(38.2%)
3位:お先に失礼いたします(31.9%、複数回答)
4位:お先に上がります(12.4%)
5位:お先に上がらせていただきます(8.7%)
「お先に失礼いたします」が複数回答で3割を超える一方、「お先に上がらせていただきます」は全体の1割弱にとどまります。これは2018年頃の同種調査と比較して約5ポイント減少しており、徐々に“誤用”への認知が広がっていることが分かります。ただし20代に限定すると使用率は16.3%に上り、若手ほどマナー本や先輩の影響でこの表現を覚えてしまう構造が浮き彫りになりました。
「させていただく」の使いすぎはキャリアに響く?専門家が警告する心理的メカニズム
ここからは、単なる言葉の正誤を超えて、なぜこの問題がここまで炎上するのかを社会心理学の観点から掘り下げます。日本語学の研究者であり、ビジネス敬語に詳しい桜美林大学・中村美奈子准教授(専門:日本語教育学)は、産経新聞の取材にこう語っています。
「『させていただく』は『許可と感謝』を同時に表現する非常に便利な敬語ですが、相手から見れば『自分の判断で帰る』という主体性を放棄し、責任を相手に転嫁しているように映ることがあります。退社は本来、許可を取る動作ではありません。それを許可ベースの敬語で表現すると、『この人は自己判断できないのか』という無意識の不信感につながるのです」
この指摘は重要です。心理学的には「過剰なへりくだりは、かえって相手との心理的距離を生む」という逆U字仮説(indebtedness model)に符合します。適度な距離感の挨拶は親密さを生むが、過剰だと「演技的」「本心が見えない」と判断される。特に同じ空間で長時間働く上司にとって、毎日の退社挨拶は部下の人柄を測るバロメーターでもあります。慇懃無礼な表現は、知らず知らずのうちに「この部下は本音と建前の切り替えが下手」「主体性に欠ける」というレッテルにつながりかねません。

一般に知られていない盲点とネットの誤解を正す
ここで、「お先に上がらせていただきます」をめぐる3つの誤解を解いておきます。
誤解1:「二重敬語はすべて間違い」
実は二重敬語の中には、「お召し上がりになられる」のように完全な誤用とされるものと、「お見えになられる」のように慣用として許容されるものがあります。文化庁の「敬語の指針」では、過剰敬語は「誤りとは断定しないが、できるだけ簡潔で適切な敬語を選ぶことが望ましい」としています。「お先に上がらせていただきます」も即アウトというより「避けたほうが無難」という立ち位置です。
誤解2:「お先に失礼します」は失礼?
ネット上では「『失礼します』は語尾がカジュアルだから良くない」という意見もありますが、これは誤りです。「失礼します」は「失礼いたします」の略ではなく、独立した謙譲語として完全に成立しています。目上の相手には「失礼いたします」と「いたします」を付けるとより丁寧です。どちらも正しい敬語として問題ありません。
誤解3:「お先に上がります」は間違い」
「上がる」は「帰る」の謙譲語として正しい表現です。「お先に上がります」自体に文法的な誤りはありません。ただし「帰宅する」という意味合いが強いため、退勤後に直行で帰宅しない場合や、オフィスのあるビルから出るだけの場合には不自然になります。「お先に失礼します」のほうが応用範囲が広い、というのが正確な理解です。
【プロの結論】明日から使える退社挨拶の判断基準とケース別例文
ここまでの分析を踏まえ、実務で迷わないための判断基準を提示します。編集部として自信を持って推奨するのは、以下の3つの型です。状況に応じて使い分ければ、敬語で失敗するリスクはほぼゼロになります。
①基本形:何も考えず確実なのは「お先に失礼いたします」
例:「お疲れ様です。お先に失礼いたします」
これが2026年時点で最も無難かつ丁寧な退社挨拶です。上司・先輩・同僚、誰に対して使っても問題ありません。
②気遣い形:上司が残業している場合
例:「お先に失礼いたします。何かお手伝いしましょうか?」
この一言を添えられるかどうかで、ただの挨拶が「気の利く人」の評価に変わります。ただし形式的に聞くのではなく、相手の返答を聞く姿勢が必要です。
③謝罪形:体調不良や急用で早退する場合
例:「申し訳ございません。本日は急用のため、お先に失礼させていただきます」
この場合は「させていただく」を使っても問題ありません。なぜなら「早退することへの許しと感謝」という、させていただく本来の意味が成立するからです。
【プロの結論】向いている人・おすすめできない人の判断基準
「お先に上がらせていただきます」を使ってもよい人:
年配の上司や取引先相手から、明確にこの表現を使うよう指示された場合に限ります。その職場や業界のローカル文化として定着しているなら、波風を立てないためにも従うのが現実的です。
おすすめできない人:
・新しい職場に配属されたばかりの人
・年上の上司が多い組織で働く20〜30代
・転職・昇進を控え、周囲からの評価が重要な時期の人
こうした立場の人は、言葉一つで「常識がない」と判断されるリスクがあるため、確実に安全な「失礼いたします」を選ぶべきです。
【お先に上がらせていただきます】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「お先に失礼します」と「お先に失礼いたします」はどちらが正しいですか?
A1:どちらも正しい謙譲語です。ただし「失礼いたします」のほうがより丁寧な印象を与えるため、上司や目上の方には「お先に失礼いたします」をおすすめします。同僚には「お先に失礼します」で問題ありません。
Q2:退勤時に「お疲れ様です」と声をかけるのは失礼ですか?
A2:現在のビジネスマナーでは、退勤時に「お疲れ様です」と挨拶するのは一般的で失礼ではありません。ただし本来「お疲れ様です」はねぎらいの言葉であり、退社の意思表示としては弱いため、「お疲れ様です。お先に失礼いたします」と組み合わせるのが理想です。
Q3:「させていただく」を完全に使わないほうがいいのでしょうか?
A3:いいえ、正しい使い方ならビジネス敬語として有用です。ポイントは「許可を得る」「恩恵を受ける」という本来の意味が成立する場面に限定すること。例えば「資料を拝見させていただきます」は相手の許可が前提なら正用ですが、「本日は休業させていただきます」のような一方的な通知に使うのは過剰です。
Q4:退社メールでも「お先に失礼いたします」でいいですか?
A4:はい。退社メールの件名は「本日の退社のご挨拶」、本文は「お疲れ様です。本日は定時で退社いたします。明日の朝、〇〇の件について改めてご確認をお願いいたします。お先に失礼いたします」といった形が丁寧です。
Q5:チャットツールで退勤を報告する際の正しい表現は?
A5:SlackやTeamsなどでは「本日はこのまま失礼いたします」や「退勤します。明日以降対応いたします」が自然です。「お先に上がらせていただきます」はチャットでは特に冗長に映るため避けましょう。
まとめ:言葉は相手への配慮。過剰敬語より「気遣いの一言」を選べ
「お先に上がらせていただきます」は、誤用とまでは断定できないものの、2026年のビジネス現場においては「避けたほうが賢明な過剰敬語」というのが編集部の結論です。日本人の約6割が敬語に自信が持てないという調査結果が示す通り、多くの社会人は「正しい敬語」という正解のない問題に日々不安を抱えています。
しかし本質を突き詰めれば、退勤挨拶は言葉の正しさより「相手への配慮」が伝わるかどうかがすべてです。慇懃無礼な二重敬語を並べるより、「お先に失礼いたします。何かお手伝いしましょうか?」と自然に気遣える人こそ、真のビジネスコミュニケーションの達人と言えるでしょう。言葉は指紋のように、その人の人柄と判断力を映し出します。今日の退勤から、ぜひ実践してみてください。 (出典: お先に上がらせていただきます(Yahoo!ニュース))